菱田春草の《黒き猫》(永青文庫所蔵)をモチーフにした作品。飯田市美術博物館を皮切りに開催された「美術と風土 アーティストが触れた伊那谷展」に出品するために作った。この展覧会はアーティストが伊那谷を訪れ、そこで触れた情景をもとに制作をするというもの。私は自身の生まれ故郷である飯田に、7年に一度開催させるお練り祭りに合わせて取材のために訪れた。当初はその祭りの情景や風景などから制作の手がかりを得ようとしていたが、同時に飯田市美術博物館を訪れた際に、担当学芸員の方から、飯田は菱田春草の生まれ故郷で、市民の菱田春草に対する思いがとても強く、この美術館の収蔵作品を初め、各所に春草にまつわるものがあると教えてもらい、改めて春草の足跡を辿って市内を巡った。そこで作品のテーマを春草の作品にすることとして、出品予定の2点のうちの1点を春草の代表作である《黒き猫》をモチーフにすることを決めた。 この作品は春草晩年の作品であるが、絵画を立体化する際には、平面的なシルエットの中に確かな立体感を見つけることができてそのことを探ることが楽しかった。猫の乗っている木の幹を、猫の尻尾の垂れ下がり方と併せて見ることで前後の奥行きが見えてきたり、木肌の流れを追うと、木の捻れ方がわかったりと、春草の観察力の確かさがわかる。私も家でちょうど黒猫を飼っているので、家で改めてその猫を観察してこういう立体になっているのかと知った上で立体化した。実際の猫と比較したときに春草がよく観察してあのシルエットを描いていることがわかり、春草のデッサン力の確かさを知ることができた。
(22-14) 黒き猫
2022年
151×51cm
パネルに印画紙、樹脂、インタリオ・オン・フォト
ed.2
作家蔵
菱田春草の《黒き猫》(永青文庫所蔵)をモチーフにした作品。飯田市美術博物館を皮切りに開催された「美術と風土 アーティストが触れた伊那谷展」に出品するために作った。この展覧会はアーティストが伊那谷を訪れ、そこで触れた情景をもとに制作をするというもの。私は自身の生まれ故郷である飯田に、7年に一度開催させるお練り祭りに合わせて取材のために訪れた。当初はその祭りの情景や風景などから制作の手がかりを得ようとしていたが、同時に飯田市美術博物館を訪れた際に、担当学芸員の方から、飯田は菱田春草の生まれ故郷で、市民の菱田春草に対する思いがとても強く、この美術館の収蔵作品を初め、各所に春草にまつわるものがあると教えてもらい、改めて春草の足跡を辿って市内を巡った。そこで作品のテーマを春草の作品にすることとして、出品予定の2点のうちの1点を春草の代表作である《黒き猫》をモチーフにすることを決めた。
この作品は春草晩年の作品であるが、絵画を立体化する際には、平面的なシルエットの中に確かな立体感を見つけることができてそのことを探ることが楽しかった。猫の乗っている木の幹を、猫の尻尾の垂れ下がり方と併せて見ることで前後の奥行きが見えてきたり、木肌の流れを追うと、木の捻れ方がわかったりと、春草の観察力の確かさがわかる。私も家でちょうど黒猫を飼っているので、家で改めてその猫を観察してこういう立体になっているのかと知った上で立体化した。実際の猫と比較したときに春草がよく観察してあのシルエットを描いていることがわかり、春草のデッサン力の確かさを知ることができた。
展覧会歴