菱田春草の《菊慈童》(飯田市美術博物館所蔵)をモチーフにした作品。飯田市美術博物館を皮切りに開催された「美術と風土 アーティストが触れた伊那谷展」に出品するために作った。この展覧会はアーティストが伊那谷を訪れ、そこで触れた情景をもとに制作をするというもの。私は自身の生まれ故郷である飯田に、7年に一度開催させるお練り祭りに合わせて取材のために訪れた。当初はその祭りの情景や風景などから制作の手がかりを得ようとしていたが、同時に飯田市美術博物館を訪れた際に、担当学芸員の方から、飯田は菱田春草の生まれ故郷で、市民の菱田春草に対する思いがとても強く、この美術館の収蔵作品を初め、各所に春草にまつわるものがあると教えてもらい、改めて春草の足跡を辿って市内を巡った。そこで作品のテーマを春草の作品にすることとして、出品予定の2点のうちの1点を春草の初期作である《菊慈童》をモチーフにすることを決めた。 元の《菊慈童》に描かれる渓流とその周辺の岩場は、東洋の水墨表現に見られる渓谷というより、写実的な表現に感じられる一方で、紅葉した木々の葉は、平面的に描かれている。そうした地面の写実表現と木々の葉の平面表現が混ざった時、木々をどこに配置するべきかを探るのが難しかった。空の霞の表現も含め、より東洋的な絵画観の作品であることがわかる。
(22-15) 菊慈童
2022年
181×110.7cm
パネルに印画紙、樹脂、パールペイント、インタリオ・オン・フォト
ed.1
作家蔵
菱田春草の《菊慈童》(飯田市美術博物館所蔵)をモチーフにした作品。飯田市美術博物館を皮切りに開催された「美術と風土 アーティストが触れた伊那谷展」に出品するために作った。この展覧会はアーティストが伊那谷を訪れ、そこで触れた情景をもとに制作をするというもの。私は自身の生まれ故郷である飯田に、7年に一度開催させるお練り祭りに合わせて取材のために訪れた。当初はその祭りの情景や風景などから制作の手がかりを得ようとしていたが、同時に飯田市美術博物館を訪れた際に、担当学芸員の方から、飯田は菱田春草の生まれ故郷で、市民の菱田春草に対する思いがとても強く、この美術館の収蔵作品を初め、各所に春草にまつわるものがあると教えてもらい、改めて春草の足跡を辿って市内を巡った。そこで作品のテーマを春草の作品にすることとして、出品予定の2点のうちの1点を春草の初期作である《菊慈童》をモチーフにすることを決めた。
元の《菊慈童》に描かれる渓流とその周辺の岩場は、東洋の水墨表現に見られる渓谷というより、写実的な表現に感じられる一方で、紅葉した木々の葉は、平面的に描かれている。そうした地面の写実表現と木々の葉の平面表現が混ざった時、木々をどこに配置するべきかを探るのが難しかった。空の霞の表現も含め、より東洋的な絵画観の作品であることがわかる。
展覧会歴