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アート
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山田純嗣

ラップランドの村イナリのイナリ湖に注ぐユートゥア川沿いの森を取材中に見つけた光景を描いた作品。こうした光景を目にした時に、白く凍てついた世界に細く一本で立つ松をいう現実に、抽象的な白地を縦断する黒い一本の線で構成されたシンプルな構成の画面を重ねて印象が強くなる。私たちは、果たして目の前の現実を見ているのか、抽象絵画を思い起こして見ているのだろうか。
一本松の向こう側には凍ったユートゥア川と対岸の森、その向こうには小高い丘。フィンランドは厚く頑丈な岩盤の地形で、日本のようなプレート運動による造山活動がなく、高い山はほとんどない。川の向こうの小高い丘は、かつてこの地が2000mの高さを超える氷に覆われていた時代に、氷河が削り出した砂や礫の堆積によってできた川の名残だろう。かつての川と現在の川、いずれも氷の下を流れていてその水の姿は見ることはできないが、この光景をじっと眺めているとそうした悠久の時代の水の気配を感じる。

展覧会歴

  • 2025年 「山田純嗣 Touch of Silence」日本橋髙島屋 美術画廊X(東京)

(25-1) JUUTUANJOKI RIVER INARI, FINLAND, FEBRUARY
(25-1) ユートゥア川 イナリ、フィンランド、2月

 

2025年

51.5×40cm

ファブリアーノ紙、雁皮紙、ドライポイント、雁皮刷り

ed.20

1/20:個人蔵、
2-20/20:作家蔵